L.A.P.中小企業顧問弁護士の会 コーディネーターの中川です。
東京では数多くの多様な弁護士が活躍しています。
つまり、顧問弁護士選びにも数多くの選択肢が存在します。
この記事では、顧問弁護士を東京で探したい中小企業経営者様のために、選択肢が多いからこそ注意すべきポイントについて解説します。
経営者様に合った顧問弁護士を選ぶための一助となれば幸いです。
1.東京では数多くの多様な弁護士が活躍している
(1)東京の弁護士の人数
現在、日本全国には44,783人の弁護士がいます。
このうち、東京都の弁護士は何人だと思いますか?
なんと22,041人です!
つまり、日本の弁護士の約半数が、東京の弁護士なのです。
ちなみに最も弁護士数が少ない県は、鳥取県で71人。東京都の弁護士は、鳥取県の実に310倍にあたります。
(弁護士数は2023年11月1日現在。日本弁護士連合会HPより)
(2)弁護士事務所の規模と専門領域
東京では多数の弁護士が活動しているだけでなく、「弁護士事務所の規模」や「弁護士の専門性」も多岐にわたります。
規模は、個人で活動する弁護士から、数百人単位の弁護士が所属する大手事務所まで様々です。
また、弁護士の専門性も多岐にわたり、民事分野や刑事分野をはじめ、金融法や国際法など様々な専門分野が存在します。
そして特定の分野に特化した弁護士もいれば、複数の専門分野を取り扱う弁護士もいます。
つまり、東京の弁護士は数が多いだけでなく、
・事務所の規模もさまざま
・専門分野もさまざま
であり、たくさんの選択肢がある訳です。
(3)選択肢の多さが選択を難しくする
さて多くの方が「弁護士の選択肢が多ければ、弁護士を比較検討しやすくなり、自分に合った顧問弁護士を選びやすい」とお感じではないでしょうか?
事実は、それとは逆です!
つまり実際には「選択肢が多いと逆に選びづらくなる」のです。
選択肢の数と選択行動に関する有名な実験があります。
その一つが、1995年にコロンビア大学の研究者シーナ・アイアンガーが行った【ジャムの実験(*)】です。
この実験結果から
・選択肢が多くなると選択が難しくなり、購買意欲を低下させる
ことが示されています。
この結果を援用すると、「東京のように弁護士が多数存在する地域では、顧問弁護士の選択が難しくなる可能性が高い」のです。
<*ジャムの実験とは?>
実験は、「スーパーマーケットで、消費者にジャムを試食販売する」という状況で行われました。
具体的には、試食のテーブルに「24種類のジャムが置かれた場合」と「6種類のジャムが置かれた場合」の2つの場合で、試食率や購入率を比較しました。
実験の結果は下記の通りでした。
●ジャムが24種類の場合:試食率は高かったが、実際に購入された割合はジャムが6種類の場合より低い
●ジャムが6種類の場合:試食率は低かったが、実際に購入された割合はジャムが24種類の場合より高い
つまり「選択肢が多すぎると消費者は選択を避け、その結果、購買意欲が低下する」ことが示されたのです。
2.「顧問弁護士 東京」の検索エンジン検索結果
(1)たくさんの弁護士や法律事務所が表示される
実際に検索エンジンで「顧問弁護士 東京」というキーワードで検索すると、多くの弁護士や法律事務所が表示されます。
しかし、情報が多すぎて
・自社には、自分には、どんな顧問弁護士が合うのか?
・顧問弁護士と契約する際の条件はどうなっているのか?
・具体的にどんなサービスが受けられるのか?
を比較検討し、弁護士を選択するのはやはり困難です。
(2)選択肢が多いからこそ必要な視点
では、その中で経営者が顧問弁護士を選ぶにはどうしたらいいのでしょうか?
そのためには、まず経営者自らが
・顧問弁護士に求める役割
・弁護士に相談したい内容
・費用や相談方法などの条件
を明確にするのが有益です。
3.東京で顧問弁護士を探す際のポイント:まずは顧問弁護士に期待する条件を明確にする
(1)顧問弁護士に求める役割は何か?
顧問弁護士に求める役割は経営者によってさまざまです。
以下、よくある「求める役割」を記します。
ご自身はいかがお考えでしょうか?
・毎月〜2ヶ月に一度は法律相談をしたい(取引先トラブル、債権回収、クレーム対応など)
・契約書のチェックを依頼したい
・お客様に配布する書類に法的問題がないかチェックしてほしい
・代金を払わない顧客に内容証明郵便を出してほしい
・問題が起きたときにすぐ相談して対処することで、問題を芽のうちに積んでリスクを最小限にしたい
・滅多に相談ごとはないが、いざという時に相談する相手がいる安心感を得たい
・自分の失敗をさらけ出したり自分の弱音を吐いたりできる、法的アドバイスをしてくれる相談相手が欲しい
経営者が「顧問弁護士との関係性をどう考えるか」「それをご自身で自覚しているか」は、実は大切な問題です。
実際に弁護士と面談したときに「その弁護士をどんな観点で見るか」に関わるからです。
(2)顧問弁護士に相談したい内容は何か?
顧問弁護士に相談したい内容は、会社の業種業態や経営者のお考えによってさまざまです。
以下よくある「相談したい内容」を記します。
貴社ではどのような相談事がありそうでしょうか?
・契約書を交わしていない取引先と揉め事が起きてしまった
・取引先が支払期日までに費用を支払わず、その後も支払う約束をしているのに支払わない
・辞めた従業員から突然、未払い残業代を請求する書面が届いた
・いわゆるクレーマーに、たびたび理不尽な要求をされて困っている
・取引先が増え、チェックすべき契約書の種類や量が増えた
・今まで取引先と契約書を交わさずに取引していたが、業容が拡大したので契約書を作成したい
・管理職にパワハラ傾向のある者がいて手を焼いている
冒頭で申し上げたように、東京の弁護士は専門性が多様なこともあり「弁護士なら誰でも会社の問題にアドバイスをしてもらえる」訳ではありません。
ですので、最低限「中小企業の企業法務に対応している」とHPに掲げている弁護士を選びましょう。
(HPには、弁護士の「取扱分野」が記載されていることも多いのでそれもチェックしましょう)
また、弁護士との面談の場では「契約後はこんなことを相談したいんです」という意思表示をして、弁護士がそれらの問題に対応できるかも確認しましょう。
(3)弁護士の顧問料や相談方法などの条件
顧問弁護士の顧問料や相談方法などの条件も、経営者によってさまざまです。
以下よくある「条件」を記します。
ご自身はいかがお考えでしょうか?
・顧問料は1〜3万円程度で考えている
・対面、オンライン、メール、電話で相談できるといい
・チャット相談も対応しているといい
・会社から30分以内で行ける距離の弁護士がいい
・弁護士の年齢は、30代、40代、50代、60代がいい
・弁護士の性格は、気さくな人、親身になってくれる人、上から目線じゃない人、交渉力のある人、分かりやすく話してくれる人がいい
・顧問契約する弁護士事務所に、弁護士が複数所属していて対応してくれるといい
・会社の問題だけでなく、経営者個人の問題も相談したい(相続、個人的な金銭貸借、家族のトラブル)
このような条件に関する情報は、弁護士事務所のHPに記載されていることが多いので、チェックしましょう。
4.東京で顧問弁護士を探す方法
(1)条件を書き出してみる
項目3でご自分が考えた条件を、実際に書き出してみてください。
(書いてみると、自分の求めているものが分かることが多いです)
その上で、顧問弁護士を探すステップに移りましょう。
(2)顧問弁護士を探すステップ
ただ何度も申し上げているように、膨大な弁護士数の中から面談候補を選ぶだけでも大変です。
弁護士に求めるものや条件面でのアタリをつけたら、下記の方法で弁護士の選択を行ってみることをまずはお勧めします。
①弁護士紹介サイトを利用する(当会もここ)
②弁護士会も弁護士を紹介している
③税理士などおつきあいのある士業に紹介を依頼してみる
④知人経営者に紹介を依頼してみる
詳しくは『顧問弁護士の探し方』ページをご参照ください。
・ある程度は「ご縁」の部分もあります。
・第三者に紹介を依頼する際は、見栄をはらずに自分の希望を伝えることが大事です(特に顧問料)。
(3)アタリをつけたら弁護士と面談してみる
よさそうな弁護士が1〜2人見つかったら、弁護士と面談してみましょう。
近年、オンライン面談に対応している弁護士は多いですし、また「法律相談をしなければ面談は無償」としている弁護士が多いので、意外とハードルは低いものです。
次の項目では、弁護士と面談する際のポイントについて具体的にお伝えします。
5.後悔しない弁護士面談のポイント
顧問弁護士は長いお付き合いを前提にする相手ですから、実際に弁護士を選ぶ(面談する)際には、ある程度慎重に見極めたいものです。
その際の主なポイントは下記の通りです。
①初対面で直観的に「この弁護士は信頼できる」と思えるか?
②「この弁護士なら気軽に相談できそう」と思えるか?
③メールや電話などで連絡がとりやすそうか?
上記を含め、弁護士を見極めるための7つのポイントがあります。
別のページで具体的にご案内しておりますのでご確認ください。
(1)弁護士との対話で相性を見極める
大事なのは、「弁護士と対話をすること」です。
弁護士と実際に話をしてみて、「この弁護士と自分が合うか、相性を確認する」ことがとても大事です。
というのも、手頃な顧問料の弁護士をお探しの方に多いのが
「弁護士なんて資格があれば誰でも一緒」
「顧問料が安ければそれでいい」
というお考えです(多くの方が「条件面だけさらっと確認すればいい」とお思いです)。
この場合、大事な視点:「弁護士との相性」を忘れがちで、これがのちのち困った事態を引き起こします。
どういうことかと申しますと、顧問弁護士に相談するのは、たいてい「自分(経営者)がトラブル等で困ったとき」ですよね。
そんなときに、顧問弁護士の対応が
・困っている自分に対する共感ゼロ
・話の内容が難しすぎてよく理解できない
・「あなたが悪い、あなたの責任でしょ?」とばかりに責めるような口調
だったらどうでしょうか?
顧問弁護士に相談して早期解決したいし安心感を得たいのに、解決方法が理解できなかったり、気持ちがつらくなったりしてしまいますよね。
ですので「弁護士との相性」はとても重要であり、それを確認するには「実際に弁護士と話してみること」が一番なのです。
(2)その弁護士が特定の業界や特定の問題に詳しいかをどう知るか?
その場合は、面談の際に「業界」や「特定の問題」について話題にしてみることをオススメします。
たとえば、
・**業界でよくあるトラブルはどんなものですか?
・そのトラブルをどうやって解決されたんですか?
・**問題がお得意とのことですが、話せる範囲で構いませんので今までトラブルを解決された事例を教えてください
など、具体的な話を聞き出せれば、その業界や問題に詳しいかある程度判断できます。
(3)契約前に一度法律相談してみるのもオススメ
もし弁護士と面談する時点で具体的な困りごとがあれば、多少費用がかかっても法律相談してみるとよいです。
(多くの弁護士は30分単位で法律相談を引き受けています。相談料は30分5,500円程度です)
実際に困りごとを相談してみると、
・その弁護士は、わかりやすい言葉で説明してくれるか
・気軽に質問できそうな弁護士か
・その問題に詳しそうな弁護士か
・その弁護士は、経営者の問題を解決しようという気持ちで接してくれているか
などがとてもよく分かります。
*安価な顧問弁護士サービスを提供する弁護士事務所には、「契約前に経営者と弁護士が面談する必要はない」と考えている事務所もあります。
*当会の場合、【初回法律相談料の実質無償制度】があります(初回面談で有償法律相談をされ、1ヶ月以内にその弁護士と顧問契約すると、初回相談料が実質無償となります)
(4)相性、相談内容、条件に納得がいったら
「この人に顧問をお願いしたいな」という弁護士が見つかったなら、弁護士に顧問契約の申し入れをしましょう。
顧問契約書はもちろん弁護士が準備します。
そして弁護士から契約書を受け取ったら、契約書を読んでみてください。
もし顧問契約書の中に理解が難しいところがあれば、気軽に弁護士に説明を求めましょう。
(多くの経営者にとって契約書の文言の読解は容易ではないので、質問をすることは何ら恥ずかしいことではありません)
また、面談した弁護士に納得がいかない場合は、他の選択肢も探しましょう。
選択肢は多いのです。
合わない弁護士と無理して契約する必要はありません。
<まとめ>合う顧問弁護士を東京で探すためには
東京の弁護士は、日本の弁護士の約半数を占めており、専門性も多様です。
一方で「選択肢が多いと実は選びづらい」という事実があるため、多くの選択肢の中から適切な選択をするために、経営者はご自身のニーズを明確にし、顧問弁護士に対する条件や要望を整理することが大切です。
具体的には、「弁護士に期待する役割」「相談内容」「弁護士に求める条件」を検討し、顧問弁護士を決める前に一度面談や法律相談を行って確認することが重要なステップです。
東京の多様な弁護士の中から、信頼できる顧問弁護士を見つける一助としていただければ幸いです。
(了)
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コーディネーター歴13年の中川です。
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