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商品の表示や広告が法律違反になるのはどんなケース?【景品表示法を弁護士がやさしく解説】

2023年10月26日

皆様こんにちは。L.A.P.中小企業顧問弁護士の会弁護士Fです。

今回は、多くの事業者様に関わる「商品の表示や広告」に関するお話をいたします。

日常業務において何気なく記載している表示方法が、実は法律に違反しているケースがあることをご存知でしょうか?

どんなケースが法律に触れるのかについて、なるべく平易な言葉で、また実例を交えて解説いたしますのでぜひお読みください。

短時間で「何が問題になるのか?」の概要をつかんでいただけると思います。

L.A.P.中小企業顧問弁護士の会よりご紹介するF弁護士
この記事は私(弁護士F)が書きました

商品の表示や広告には実は法律違反が疑われるものが多い

皆様は、お仕事が終わった後のリラックスタイムには何をされていますか?

私はインターネットで買い物をするのが大好きです。
気になるものを検索して、いろいろなサイトを渡り歩いて少しでも安いものを探して…という過程が楽しくて仕方がありません。

こういったことをしているときに気になるのが、商品に添えられた「今月限定50%オフ!」とか「タイムセール!」といった記載です。

ついつい、「今買わないと損かなあ?この期間を過ぎたらもう安くはならないよね…」などとそわそわしてしまいます。

ところが、「今月限定50%オフ!」という表示が、ずーっと掲げられていたらどうでしょうか?
あれ?この商品、先月も『今月限定50%オフ!』って書いてなかったっけ?先月焦って買ったのに…」と思いませんか?

また、「メーカー希望小売価格10,000円→今なら8,900円」というような表示も見かけます。

こういった表示は、「不当景品類及び不当表示防止法」(以下、「景品表示法」と呼びます)という法律に違反している可能性があります。

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「消費者に誤解を与える表示」は、景品表示法により禁止されている

景品表示法では、インターネット上での広告に限らず商品やサービスに付すパッケージ、チラシ、広告、ディスプレイなどのうち、消費者に誤解を与えるような表示(不当表示)を禁止しています

景品表示法で禁止される不当表示には、

①「優良誤認表示」
②「有利誤認表示」
③その他消費者に誤認される恐れのある表示

の3類型があります。

以下、それぞれ具体的に解説します。

女性経営者

①「優良誤認表示」とは?

「優良誤認表示」とは、

商品・サービスの品質、規格などについて、実際のものや事実に相違して他の事業者のものより著しく優良であると誤認される表示

をいいます。

たとえば、

●実際には15万㎞走行した中古車であるにもかかわらず、「走行距離5万㎞」であるかのように表示したり
●実際には「松阪牛」(国産有名ブランド牛)でない国産牛肉であるにもかかわらず「松阪牛」であるかのように表示する

といったケースがこれに該当します。

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②「有利誤認表示」とは?

「有利誤認表示」とは、

価格を著しく安くみせかけるなど、商品・サービスの価格その他の取引条件を著しく有利に見せかけるような表示

をいいます。

たとえば、

実際には他社の商品と同程度の内容量しか入っていないのに、あたかも他社の2倍入っているかのように表示するといったケース

がこれに該当します。

また、不当な「二重価格表示」も「有利誤認表示」にあたります。

二重価格表示とは、

事業者が自己の販売価格に、当該販売価格よりも高い他の価格を併記して表示するもの

を指します。

たとえば、

「当店通常価格」や「メーカー希望小売価格」と表示されている金額と、それよりも安い販売価格の2つが併記されているケース

が二重価格表示にあたります。

具体的には、

●「当店通常価格」と記載されているのにもかかわらずその価格で販売した実績がなかったり
(例:冒頭の例の「今月限定50%オフ!」という表示を常時しているにもかかわらず、「通常価格」での販売実績がない場合)

●「メーカー希望小売価格」と記載されているのに実際にはメーカー希望小売価格は設定されていなかった場合
(例:冒頭の例の「メーカー希望小売価格10,000円→今なら8,900円」というような表示をしているのに、「メーカー希望小売価格」の設定がそもそもない場合)

といったケースは、「不当な」二重価格表示にあたる可能性があります。

労働問題、トラブルで困っている経営者

③「その他消費者に誤認される恐れのある表示」とは?

「その他消費者に誤認される恐れのある表示」は、①優良誤認表示・②有利誤認表示のほか、

一般消費者に誤認される恐れがある表示を、内閣総理大臣が指定して禁止しているもの

です。

たとえば、「おとり広告に関する表示」や「有料老人ホームに関する不当な表示」などが指定されています。
これらはどういうものかと言いますと、

●おとり広告に関する表示
広告・ビラに掲載した商品が実際には用意できていない場合や、既に売却済みの商品を広告に掲載する場合など

●有料老人ホームに関する不当な表示
有料老人ホームが所在する土地・建物が当該有料老人ホームの所有物件でないのに、そのことが明瞭に記載されていなかったり、終身にわたって居住できるような表示がされているにもかかわらず、入居者の状態によってはそれができない場合があるのにそのことが明瞭に記載されていない等

などが指定され禁止されています。

顧問弁護士の探し方、メリットについて解説します

「有利誤認表示」に関する法律相談の実例

先日顧問先様から、不当表示のうち、②「有利誤認表示」に関係する相談がございましたので、ご相談内容を大まかにご説明いたしますね。

不当表示のうち、②「有利誤認表示」に関係するご相談例

対象の商品は、定期購入を前提とする食品です。
その商品は、初回の注文のみ1セット3,000円で購入できるのですが、2回目以降の注文では、1セット5,000円になります。

そのお客様(事業者様)はこの商品をインターネットで販売しており、初回の価格である「1セット3,000円」を強調した広告の記載に問題がないか、というご相談でした。
(※特定を避けるため、商品の金額は実際とは異なるものに変えています)

このようなケースの場合、実際は【初回のみ1セット3,000円で、2回目の購入からは1セット5,000円になる】にもかかわらず、【購入期間中、ずっと1セット3,000円で購入できる】かのように誤解させるような記載は、②有利誤認表示に該当する可能性があります。

ですので、事業者側としては、「初回は安く購入できる・始めやすい」ことをアピールしつつ、「ずっと初回と同じ価格ではないよ」ということがわかるように、表現を工夫する必要があります。

今回ご相談いただいた広告は、広告を見る側のお客様が誤解をするような内容ではなかったため、「問題ございません」という回答をいたしました。

令和5年10月、景品表示法が「ステルスマーケティング」を規制

景品表示法関連で、新たな規制が始まることとなりました。
令和5年10月1日から、いわゆる「ステルスマーケティング」が、③その他の不当な表示 に指定されたのです。

「ステルスマーケティング」とは、

商品やサービスについての広告・宣伝であるにもかかわらず、広告であることを隠すこと

をいいます。

たとえば、

●インフルエンサーが企業からの依頼を受けているのに、企業からの依頼であることを明らかにしないまま、当該企業の商品についてSNS等に好意的な感想を投稿するケース

が該当します。

また、

●当該企業の従業員が身分を隠して好意的な口コミ・投稿をするケースも、ステルスマーケティングに該当する可能性

があります。

「ステルスマーケティング」の問題点は、消費者からみると【事業者(商品・サービスの提供者)の表示であることが分からない(分かりづらい)】というところにあります。

「ステルスマーケティング」の問題点とは?

たとえば、自分の好きな有名人が「この保湿クリーム、すごくいいよ!」というSNS投稿をしていたら、「どれどれ、試しに使ってみようかな…」と買う人もいると思います。

他の商品と同じように店頭に並んでいるだけの場合と、インパクトが違いますよね。

この投稿に、広告であることがわかるような表示がされているのと、何も表示がないのとでは、買う側の受け取り方は全く変わってくると思います。

広告であることが分かれば、「広告だし、ある程度実際より良く見せているのだろう」という予想ができますが、広告であることが分からない場合には、それができないことがあります

このような理由から「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(*)」が禁止されることになりました。

(*)消費者庁の定義によれば、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示(以下、「事業者の表示」という。)であるにもかかわらず、事業者の表示であることを明瞭にしないことなどにより、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難となる表示」。

弁護士との打ち合わせ風景

「ステルスマーケティング」規制の線引きは難しい

「ステルスマーケティング」規制は始まったばかりですので、「これはOK」「これはNG」という線引きが特に難しい分野だと思います。

ご心配な事業者様は、こうした問題に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

もちろん、L.A.P.中小企業顧問弁護士の会でも適切な弁護士をご紹介することができますので、お気軽にフォームやお電話(tel.03-6679-2076)にてご相談ください。

(了)

記事を執筆したE弁護士プロフィールと当会のご案内

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新宿区(新宿御苑駅近く)にて開業中の40代女性・F弁護士。早稲田大学卒。
弁護士より:『お話をじっくり伺うことを最も大切にしております。 経営者様のストレスを減らし、業務に専念できるお手伝いができればと思います』

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