E弁護士ブログ(40代男性、@新宿区)

「顧問弁護士の必要性を感じない」という経営者様へ~法的トラブル解決以外の隠れた大きなメリット

2023年4月13日

中小企業経営者の皆様、お世話になっております。
L.A.P.中小企業顧問弁護士の会弁護士のEです。

弁護士の顧問料は以前に比べるとかなり低額化しており、月額1万円程度で弁護士と顧問契約ができるのは当たり前の時代になってきました。

しかしながら、顧問弁護士を導入している中小企業はまだまだ少数派です。

その理由を弁護士の私は、「中小企業の経営者様に顧問弁護士の必要性を十分に感じていただけてないから」と考えています。

実は顧問弁護士には、「トラブルが起きたらすぐ相談できる」点以外にも、隠された大きなメリットがあります。

その大きなメリットについて、中小企業経営者様からのご相談を数多くお受けしている弁護士の立場からお伝えしたいと思います。

L.A.P.中小企業顧問弁護士の会よりご紹介するE弁護士
本記事を執筆した40代E弁護士

顧問弁護士が浸透しない理由:経営者に必要性をご理解いただけてないから

経営者様が顧問弁護士を導入しない、その一番の理由は何でしょうか?

少し古いデータになるのですが、日本弁護士連合会が中小企業を対象にして2016年から2017年に行った全国調査によれば、

●過去10年間で弁護士を利用したことがない企業が全体の55.7%
●利用したことがない理由の1位は、「特に弁護士に相談すべき事項がないから」86.3%

だそうです(第2回中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書)。

要するに、弁護士が使われない最大の理由は、経営者様に必要性が理解されていないということだと思います。

特に顧問弁護士の場合には、取引先等から裁判を起こされているわけでもない段階で顧問料という月々の固定費が発生するわけですから、一層必要性は理解されにくいところです。

しかし、日々中小企業経営者様からのご相談をお受けしている弁護士の立場からすると、手前味噌ながら、中小企業が顧問弁護士を導入する隠れたメリットがあるのです。

弁護士と電話中の経営者

顧問弁護士を導入する一般的なメリット

一般的に顧問弁護士が

●何か法的トラブルが起きたときに対応する存在
●あるいは法的トラブルの芽を摘む存在

であることはよく知られていると思います。

当会のこちらのページにも、顧問弁護士の必要性やメリットについてのまとめがあります。
顧問弁護士の必要性とメリット

こうしたメリットは経営者の皆様にも「確かにそうだな」と感じていただけると思いますが、弁護士に相談したいと思うような法的トラブルがない/なかった経営者にとっては、実はピンとこないのではないでしょうか。

メモ

顧問弁護士は、経営者様の【常識の確認】にとても役立つ

しかし私が申し上げたいのは、それだけではありません。

実は顧問弁護士を導入するメリットは、法的トラブルのずっと手前(法的トラブルが起きる前の日常)にあると思っています。

具体的には、顧問弁護士は、経営者様が日常業務の中でモヤっとした際の「経営者様ひとりひとりの常識の確認」にも、とても役立つということです。

わかりにくいですね。
具体例を挙げます。

経営者からの「私の考えは真っ当でしょうか?」というご相談

先日、長いお付き合いのある社長様から、商流が複雑な取引上のトラブルについてご相談をいただきました。

具体的にはこのようなお話でした。

社長:「私はこの問題は、うちではなく●●(取引先)が解決すべきであって弊社に持ち込むのは違うと思うのですが、私の考えは真っ当でしょうか?」

この社長様に限らず、会社を経営されていると、日々いろいろなお悩み事が発生すると思います。

さらには、ご自分の考える通りに物事が動かず、取引相手にイライラされることもままあると思います。

そんな時ふと、「この俺のイライラ、俺が悪いの?違うよね?俺、正しいよね?」と心配になることはございませんでしょうか?(そんなことは一度もない、という方はこのページをそっと畳んでください。ここまでお読みくださりありがとうございました)。

労働問題、トラブルで困っている経営者

経営者が日々の業務でモヤっとしたときに、顧問弁護士はとても役立つ

そんな時は顧問弁護士にご相談頂くのが一番いいと思います。

なぜなら、弁護士は「常識」を熟知しており、「経営者のその戸惑いやお悩みやお怒りが、常識に沿ったものなのか」を判断できる立場にあるからです。

つまり顧問弁護士は、経営者様のお悩みが、

●常識的なものなのか
●独りよがりで身勝手なものなのか

を切り分けることができるのです(ありがたいことに、弊所のお客様から寄せられるお悩みの大多数は前者=常識的なもの、です)。

そのうえで、こうしたご相談を受けた際の常識的なお悩みに対しては

「社長!あなたは間違ってません!あなたのお悩みはごもっともです!そのまま進んで下さい!」

と背中を押すところが、中小企業の顧問弁護士の大きな役割だと考えています。
(先ほどの例で挙げた社長様のお悩みも常識的なものでしたので、同じようなことを申し上げました)

私は、弁護士登録してからここまで、かなりの数の経営者様と関わらせていただきましたが、会社を順調に経営されている経営者様は皆さん、「常識」を習得されているように思います。

日頃から経営者様は、ご自分の考え方を「常識」に近づけることで、自信を持って経営に臨むことができ、余計な悩みは減り、トラブルも減り、経営は上向く

顧問弁護士の導入により、一人でも多くの経営者様がそういった結果に近づくお手伝いができるのであれば幸いです。

弁護士との打ち合わせ風景

「常識」とは何か?

さて、これまで申し上げてきた「常識」について補足いたします。

「常識」とは、

【出るところに出た時に、裁判官がこちらを勝たせてくれるのか】

という意味の「常識」でございます。

いうなれば、「裁判において裁判官の考える社会通念」ということになります(ただその内容は、一般的なビジネス社会での「常識」とさほどかけ離れてはいません)。

弁護士は、「裁判」という究極の紛争解決の場で、何が正しいと判断されるのかを最も熟知している士業者です。

また、さまざまな業種の企業様のさまざまなトラブルのご相談をお受けしている立場からも、「ビジネス社会の常識」にも精通しています。

そういった意味で、経営者がお悩みを抱えた際の相談相手として、顧問弁護士はとてもふさわしい存在なのです。

弁護士バッジ

さりとて、弁護士も人間…

最後に、声を大にして、1点言わせてください。

実は弁護士は、「常識」の内容を熟知していますが、「常識」に沿った行動を全ての弁護士が採っているわけではございません。

まとめますと、ここまで「常識」人ぶって偉そうなことを散々申し上げて参りましたが、私をはじめとする弁護士が全て品行方正な常識人というわけでは決してございません(むしろ私なぞは、ここまでの記事を読み返して顔から火が出る思いです)。

この点くれぐれもご理解くださいませ。
(了)

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新宿区(新宿御苑駅近く)にて開業中の40代男性・E弁護士。上智大学卒。

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