
取引先に「見くびられている」がゆえの不当要求
L.A.P.中小企業顧問弁護士の会の弁護士のEです。
中小企業の経営者の皆さまには、こんなお悩みはありませんか?
・注文を受けた商品を製造して納品したのに、「思ったほど売れなかったから返品したい」と言われた。
・きちんと商品を納めたのに、「社内決裁が長引いているから、支払はもう少し待ってくれ」と言われ、代金の支払を納品の3カ月先まで引き延ばされた。
・取引先からシステム開発の仕事を受注した後、対価の値上げなしに、何度も仕様の変更や追加を命じられた。
私は、顧問弁護士として常日頃、中小企業の社長様からのご相談に乗らせていただくのですが、その中でよく見る構図に、「取引先から不当な要求や、無茶な取引条件を迫られている」というものがあります。
不当要求の背景を探ってみますと、「取引先がこちらの法的知識を見くびって、法的に正しくない要求を呑ませようとしている」というケースが多いように思います。
そこで今回は、「顧問弁護士を導入した場合、このような不当要求に対する具体策と、弁護士がどう役立つのか?」をご説明いたします。
不当要求対策のはじめの一歩は、「弁護士の存在を認識させること」
「顧問弁護士に相談します」で、理不尽な要求を抑える
不当な要求に対する対応策の「はじめの一歩」は、「自社に顧問弁護士がいる事実を、相手先に認識させる」ことです。
具体的な方法については、事務局コーディネーターの中川が以前記事を書いています。
『理不尽なクレームや要求をこれ以上エスカレートさせない魔法のひと言とは?』
こちらに書いてある「魔法のひと言」を唱えていただいても結構です。
理不尽な要求を切り出されたら、取引先へのメールに”顧問弁護士をCC”(メール文例)
また私がお客様にお勧めしている方法としては、「取引先とのやり取りのメールをCCで顧問弁護士に同送し、先方にもその旨を伝える。」というものです。
取引先が理不尽なことをメールで言い出したタイミングで、こんなメールを送るのです。
<メールサンプル> 件名例:「〇〇案件のやり取りについて」
「本件に関するやり取りについてですが、『言った、言わない』にならないよう、今後はメールにて行わせていただきたく存じます。
念のため、今後のメール送信の際には、弊社顧問弁護士(〇〇法律事務所 〇〇 〇〇弁護士)にも同送させていただきますので、この点併せてご承知おきください。
情報共有の観点から、御社からのご返信の際にも、宛先全員宛に返信していただけますと幸甚に存じます。」
こうしたメールを送っておくと、それだけでピタリと不当要求が止まることがあります。
なお、このようなメールでピタリと不当要求が止まった理由は、「相手先が不当な要求を、不当と知りつつ押し付けていたから」にほかなりません。
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不当な要求は、下請法で禁止されている行為であることが多い
実は、冒頭で挙げた3つの理不尽な要求の例はすべて、下請法という法律に抵触しうる可能性があります。
このような例にお心当たりがあるのであれば、取引先は、「法律のことを全く知らない」か、「御社のことを、法律を守った取引をしなくても構わない相手だと思っている」かだと思います。
いずれの場合であっても、「こちらに顧問弁護士がいる事実を、取引先に認識させる」ことは非常に有効です。
それでも食い下がってくる場合の対処法は?〜2nd ステップは「対案の提示」
「対案を出せ」と言われたら、顧問弁護士に相談する
もっとも、不当な要求をしてくる取引先の中には、「弁護士の存在を認識させてもまだ食い下がる」方もいらっしゃいます。
そんなときに取引先が言ってくる決まり文句は「(契約書案等の)内容に不満があるなら対案を出してください」と言うものです。
「顧問弁護士がいる」と伝えても、「法的な対抗策まで練ってくるわけはない」と高を括っているわけです。
そんな時は顧問弁護士に相談し、先方に対案をぶつけましょう。

コストを抑えつつ「対案の提示」まで行うには
「不当要求への対案」をいかにすべきかは、弁護士に丸投げするのではなく、御社と弁護士の共同作業で進めることをお勧めします。
なぜなら、いきなり白紙の状態で弁護士に「どんな対案を出せばいいですか?」と投げるのは、時間的にもコスト的にも得策ではないからです。自社として「何なら受け入れられて、何は無理か」を先に整理しておく方が、弁護士との相談時間を短縮でき、結果として余計な費用も抑えやすくなります。
弁護士は、皆さまが示した希望条件や許容範囲を、法的に筋の通った文章に落とし込み、相手に伝わる形へ整えるのが得意です。
そのため、御社としての最低ライン(落としどころ)をあらかじめ共有いただければ、対案の精度が上がり、検討時間が減る=交渉が早く静まるという効果も期待できます。
弁護士相談前に整理しておきたい項目(納期・単価・支払サイト など)
例えば、下記のような内容を弁護士との相談前に整理していただくと良いと思います。
【弁護士に相談する前に言語化していただきたい線引きの例】
・受け入れ可能な納期・数量・単価の幅(上限/下限)
・追加仕様に対する費用負担の原則
・支払サイトの許容レンジ
・その取引先と、どの程度「事を荒立てて良い」のか(訴訟も辞さないのか、取引継続は絶対なのか)etc…
ここまで整理できていれば、弁護士は必要事項を確認しながら文案化→対案提示までスムーズに事を運べます。

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「対案を出せ」と言ってくる方に限って…
なお私のこれまでの経験では、上から目線で「対案を出してください」と言ってくる方に限って「対案など作れるはずがない」と考えているらしく、こちらが対案を出すとすっかりおとなしくなってしまい、以後の不当要求も減少することが多いように思います。
対案を出しても通じない相手には? 3rd ステップは「法令順守の要求」(ただし、やんわりと)
不当要求する取引先は、対案を出しても検討しないことも
私はほとんど見たことがありませんが、「対案を出せと言っておきながら、対案を出しても全く検討してくれない、困った取引先」がいることも想定されます。
そんな取引先であっても、お付き合いをすぐに切れないという場合も多々あると思います。
このように、不当要求が法令違反のレベルに達しているのに、不当要求を取り下げてくれない、という場合には、「あなたのやっていることは法令違反ですよ」と伝えるほかないように思います。
ただ、お付き合いをすぐに切れない取引先の場合、伝え方には気を付けなければなりません。
私がお勧めしているのは、「顧問弁護士が強い懸念を示していて、裏付け資料も存在する」というスタンスで臨んでいただくというものです。
顧問弁護士の存在をうまく活用して、取引先をけん制する(メール文例)
例えばですが、取引先の担当者や代表者に対し、以下のようなメールを送るというものです。
<サンプルメール案>
「御社との契約書類及び、この度の御社からのお申し出につき、弊社顧問弁護士に確認をしましたところ、顧問弁護士から、このような取引条件は下請法に違反している可能性が非常に高いとの回答がございました。
具体的には、〇〇の部分が、下請法〇条の禁止する〇〇に該当する可能性が高いとの回答でございます。
御社におかれましても、法令に違反する取引条件を提案される御趣旨ではないと拝察いたします。
つきましては、是非この機会に、適法な契約条件への変更を御相談させていただきたいと考えておりますので、御検討いただけますと幸いです。
念のため、弊社顧問弁護士から提供された下請法関連の資料を本メール添付にて共有させていただきます。併せて御確認のほど、お願いいたします。」
どんな困った取引先でも、「御社は法令違反を強要するのですか?そうではないですよね?」というロジックを突きつけられれば、「そうではないです」と返さざるを得ません。
顧問弁護士の導入により、このような交渉もできる可能性があるということです。
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まとめ:不当要求を防ぐためにも、顧問弁護士の導入を!
最近は不当要求に対する法的な規制も厳しくなっており、弁護士に相談し、そのアドバイスに従って取引先に連絡すればすぐに解決する事案も増えています。
多くの経営者様にとって、法的交渉は専門外でしょうから、慣れない法的交渉には、かなりのエネルギーが必要になると拝察いたします。
弁護士は「タダ」ではありませんが、顧問弁護士のサービスはその専門性に価値があります。
不当要求に頭を痛めるよりも、弁護士に相談していただき、経営者様にはそのエネルギーを本業に向けて頂く方が、結局のところ低コストに収まる場面も数多く存在します。
継続的に、困ったときに相談できる相手として、ぜひ顧問弁護士をご活用ください。
(了)
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\ 落ち着きと安心感、頼もしい! /
新宿区(新宿御苑駅近く)にて開業中の40代男性・E弁護士。上智大学卒。
弁護士より:『些細と思うことでもお一人で抱え込まず、御社の”かかりつけ弁護士”としてお気軽にご相談ください』

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