L.A.P.中小企業顧問弁護士の会事務局・中川のブログです。
今回は、お客様から大変ご要望の多い、「顧問弁護士名を自社のHPやパンフレット等に掲載したい」というご要望に関連する話題です。
HPや会社案内に顧問弁護士名を載せることは、経営者の方からすると「トラブル防止の面」で安心ですよね。
実際に当会へのお問合せやご要望でも「顧問弁護士名を掲載したい」というお声は、ダントツで多いです。
Contents
基本スタンス:一定期間経過したのち
まず当会の弁護士の基本的なスタンスをお伝えします。
弁護士は、顧問契約後一定期間経過したのち、お客様からお申し出いただいた上で「顧問弁護士名をHPに掲載してもOKです」と判断させていただきます。
となると、経営者の皆様は「なるべく早期に掲載してもらうにはどうしたらいいのか?」が気になりますよね。
その気になるポイントを、弁護士の声を元に解説いたします。
なぜ弁護士は、契約後すぐ顧問弁護士名の掲載を躊躇するのか
本題に入る前に。
経営者にとってメリットの大きい「顧問弁護士名のHP等への掲載」ですが、では当の弁護士はどう感じているのでしょうか?
弁護士の声です。
私は契約してすぐに掲載させて欲しい、とご要望をいただいても残念ながらお断りしています。
顧問契約する中で、いろいろとお話したりやりとりを重ねたりして、お互いを理解でき信頼できたら、もっと言ってしまうと仲良くなれたら、いいですよ、と申し上げています。
大体の目安は、契約後半年くらい経ってからですかね。
<40代男性弁護士>
「経営者との相互理解と信頼」が大事だとこの弁護士は言っています。
「仲良くなれるぐらいに」だそうです(年齢の近い顧問先の多い弁護士です)。
別の弁護士はこうも話してくれました。
弁護士にとっては実は"リスク"でもあるんです。
万が一、会社が大きなトラブルを起こしたときに、顧問弁護士に問い合わせが来るのは必至です。
その際、弁護士として責任を持った対応ができるかは、ふだんから経営者ときちんとコミュニケーションが取れているか、お互いにどんな人間なのか理解できているか、さらに、お互いに好ましいと思っているかにかかっているので、顧問契約してすぐ掲載していいですよ、とは私は言えないです。
<40代女性弁護士>
「顧問弁護士名の掲載には責任が伴いリスクがある」と、この弁護士は言います。
それは「有事の際に責任を取りたくない」ということではなく、責任を果たすためには、経営者と顧問弁護士が理解・尊重しあうことが不可欠であり、そのことが、弁護士が経営者の代理人として対応できるか否かの鍵であるということですね。
当会の弁護士の基本的な考え方は、この2名の発言にほぼ集約されていると言えると思いますが、とは言え経営者には「早く掲載してほしい」という気持ちがあるのも事実です。
ではどう折り合いをつけたらいいのでしょうか。
その答えを次の弁護士が話してくれました。
相談を積極的にする中で、信頼関係を
ならば、「弁護士への相談を積極的にして欲しい」ですね。
顧問弁護士名の掲載には、信頼関係が築けるかが大前提なので、その判断材料が欲しいのです。例えばですが顧問契約後に何も相談がないまま半年経って、漫然と「HPに顧問弁護士名を載せたいです」とおっしゃられても、信頼関係が築けたことは判断できません。
ご相談をお受けする中でいろいろなやりとりが発生し、その過程で「この経営者とは長いおつきあいができそう」と感じられるかが大事なんです。
そう感じたら、私は数ヶ月程度で「掲載してもいいですよ」とお答えします。<50代女性弁護士>
「信頼関係が実際にあるかどうかは、相談という形で対話を重ねる中で判断する」と、この弁護士は話しています(対話=実際の会話やメールのやり取り)。
単に半年経った、一年経った、ということで判断しているのではないのです。
同じ弁護士が続けます。
ご相談の際は、ありのままを正直に話して欲しいですね。
話しづらいことや自分にとってマイナスのこと(自分の落ち度とか、相手と交渉する際に言い方がきつかったとか)もお話してもらえると、経営者の誠実さや柔軟性も感じられますし、弁護士としても正しい判断ができます。
<50代女性弁護士>
「自分にとって都合の悪いことも相談してほしい」と、言ってますね。
それは弁護士の正しい判断に直結するだけでなく、経営者が誠実に弁護士に向かいあっている、つまり弁護士を信頼している証にもなるのです。
相互理解と信頼関係がポイント
ここまでのお話で弁護士は、顧問弁護士名をHP等に掲載できるかどうかは、「経営者との間に十分な信頼関係があるか」を重要な判断ポイントとしているようです。
そのためには、
・顧問弁護士をHPに掲載することの弁護士にとっての前提を理解する:
万が一トラブルが起こり、代理人として弁護士が対処する際に、経営者と弁護士の間に相互理解があり信頼関係が築かれてる必要がある、を経営者側も理解する必要がある
・相互理解と信頼を築くためには、積極的に弁護士に相談することが重要
・相談の際は、自分に都合の悪いことも包み隠さず話すことで、信頼関係を深められる
ことが大事ですね。
「顧問弁護士名をHPに掲載できるか」どうかは、弁護士のこのような考え方をご理解いただいた上で、まずは契約前面談の際にご自身の希望を弁護士に伝えてみてください。
その上で、契約開始からしばらく経過した後、弁護士にご依頼いただければと思います。
(了)
L.A.P.中小企業顧問弁護士の会・事務局ブログ他の記事
\ 中小企業経営者の顧問弁護士選びのお手伝い/

\ 下記のページもご覧ください /