中小企業のお客様とお仕事をさせて頂くようになってもう10年以上経つのですが、10年もやっていますと、ちらほらと「現在の顧問弁護士を変更したい」というご相談をいただくことがございます。
そこで今回は、
・経営者が顧問弁護士を変更したいと思う【理由】
・顧問弁護士を変更する際に注意すべき【ポイント】
・顧問弁護士を変更する場合の【デメリット】
について解説いたします。
顧問弁護士の変更をお考えの経営者様にはぜひお読みいただき、より合う弁護士選びや後悔のない弁護士変更のお役に立てれば幸いです。
経営者が「顧問弁護士を変更したい」と思う理由は何か?
「現在の顧問弁護士を替えたい」というご相談を頂いた際、「是非とも弊所にご依頼ください!」と飛びついてもいいのですが、それも何だか品のない話ですので、まずは「なぜ顧問弁護士を替えたいと思われたのですか?」という質問をさせていただいております。
その際にお聴きするご事情はいろいろあるのですが、多くは、
今の顧問弁護士について
①「相談しにくいと感じる」
(1)性格・相性のミスマッチ
(2)連絡(相談)手段のミスマッチ
②「コスト(顧問料)が高いと感じる」
に分類できるように思います。
変更したい理由①:「顧問弁護士に相談しにくい」
1つ目の「相談しにくい」をもう少し掘り下げますと、その中には、【性格・相性のミスマッチ】と、【連絡(相談)手段のミスマッチ】があるようです。
それぞれご説明いたします。
<相談しにくい>具体例(1) 性格・相性のミスマッチ
「顧問弁護士との相性が合わない」ケースです。
この【性格・相性のミスマッチ】には、
「話しにくい」
「当社の不祥事を話すと怒られそうで相談しにくい」
「法律はこうなっている、という説明ばかりで、結局当社がどうすればいいのかを教えてくれない」
などがあるようです(私も気を付けます)。
ここで、弊所に「顧問弁護士を替えたい」と言ってこられた方の例をご紹介しましょう。
ある飲食業の経営者が弊所にいらしてこのようなお話をされました。
「自分がある組織で知り合った、自分と同い年の弁護士と顧問契約していたが、当社の担当者が顧問弁護士に相談しづらくなってしまい、社として顧問弁護士を替えることにした」
そこで、後日その会社の担当者様とお会いしたところ、とても素晴らしい方でした。
また(私の思い込みでなければ、ですが)その担当者様からはその後、日々の相談もお気軽にしていただいており、その会社様とも現在に至るまで平穏に顧問契約を結んで頂いております。
つまり、相談しづらい=担当者様と前の弁護士との相性の問題だったのです。
このような例もありますので「本当に相性というのは大切だ」と思う次第です。
<相談しにくい>具体例(2) 連絡(相談)手段のミスマッチ
【連絡(相談)手段のミスマッチ】というのは、連絡のつく手段や弁護士からの回答方法のミスマッチを指します。
例えば、
・口頭のやり取りで相談したい
・出来るだけ会って話したい
という経営者の場合、
・電話がつながりやすい弁護士
・オンライン相談に対応している弁護士
・対面での説明が得意な弁護士
が良いでしょう。
一方、
・弁護士の見解を社内の別部署や取引相手と共有したい
という場合には、
・メールや文書での回答が得意な弁護士
が良いでしょう。
また昨今では、
・通信ツールとして「チャットアプリしか使わない」という経営者様
もかなり増えています。
そういった方の場合には、
・チャットアプリを導入している弁護士でないと話にならない
ということになるでしょう。
つまり、経営者に合った手段に弁護士が対応していることが大事なのです。
経営者にとって、顧問弁護士は日々の業務のパートナーにあたるため、こういった【連絡(相談)手段のミスマッチ】は私が思う以上に、経営者の方の経営判断に影響しているようです。
変更したい理由②:「顧問弁護士のコストが高いと感じる」
顧問弁護士を変更したい理由の2つ目「コスト(顧問料)が高いと感じる」というのは、実は1つめの「相談しにくい」と関係する部分があります。
「相談しにくい」場合、「その割にこのコストは高い」と感じやすいからです。
先に挙げた、飲食業の経営者様の例でも(同社の担当者が顧問弁護士に「相談しづらかった」例)、顧問料は一般的な顧問弁護士の相場だったようです(つまり月額5万円程度)。
経営者様は「月に何万円も顧問料を払っているのに、相談しづらいのでは意味がない」と思われたからこそ、「顧問弁護士を変更しよう」という行動に出られたのでしょう。
もっとも、「コストが高いと感じる」理由にはもう1つあるように思います。
顧問料に何が含まれるのかについて
契約前のすり合わせが不足していた
ということです。
この点について経営者様と弁護士の間に意識のズレがあると、経営者様は「コストが高い」という意識を持たれるようです。
ですので、顧問弁護士を既に導入されている経営者様におかれましては御社の顧問弁護士が、①「相談しにくい」②「コストが高いと感じる」という状態になっていないか、今一度後確認ください。
もしどちらか1つでも当てはまる場合には、顧問弁護士変更を検討されても良いかもしれません。
顧問弁護士の安易な変更にはデメリットも
もっとも、顧問弁護士の安易な乗り換えにはデメリットもあります。
2つのデメリットをご紹介します。
デメリット① 御社の社風等を理解している弁護士を切ることになる
もし現在の顧問弁護士が「相談しにくい」人物だったとしても、顧問弁護士を一定期間務めていた以上は、御社の社風や特殊事情、御社が所属している業界の事情などについて、ある程度熟知しているのではないでしょうか。
が、その業界の事情に詳しくない顧問弁護士に替えた場合には、これら全ての点について、また一から理解してもらわないと話が進まないことになります。
特に、御社が特殊な業界に属されている場合には、新しい弁護士が業界の事情に精通するまで、かなりの期間を要することもあります。
一方、現在の顧問弁護士との関係性が希薄であり「当社のそういう深いところまで理解していない」ような弁護士でしたら、顧問弁護士変更になんら問題は生じないでしょう。
デメリット② 安い顧問料の弁護士に切り替えた結果、却ってコスト高になることも
また「コストが高いと感じる」からといって、安易に顧問弁護士を替えると、却ってコスト高になることもあり得ます。
昨今は、見た目の顧問料の安さ(月額5千円未満とか月額1万円未満など)を打ち出す弁護士も増えてきました。
が、「その安い顧問料でどれだけのことをしてもらえるのか?」という視点を持っていただきたいのです。
馬鹿正直にいいますと、L.A.P.中小企業顧問弁護士の会でも、顧問料1万円(税別)プランの場合には、対応可能な業務時間を「月に2時間まで」と設定させていただいておりますので、あらゆる会社様において御社の抱えるすべての法的問題が顧問料1万円で解決できる、というわけではありません。
つまり御社のご事情(依頼したい内容や業務量)によっては、安い顧問料を掲げる弁護士に切り替えた結果、却ってコスト高になることもあるのです。
(その代わりといってはなんですが、私は経営者様とのご契約前の面談時に「2時間でどれだけの作業が出来るのか」「納期はどのくらい見てもらえばいいか」を、可能な限り詳細にお話させていただくようにしています)
顧問弁護士を変更する場合のポイントまとめ
顧問弁護士の変更を検討される際には、切り替え先の弁護士が、
・相性は合うか
・連絡(相談)手段は何に対応しているのか
・この顧問料で、どこまでの業務を
どのくらいのスピード感でやってもらえるのか
について、契約前にきちんとご確認いただくことをお勧めします。
1社でも多くの中小企業様が、御社にフィットする顧問弁護士と出会われることを願ってやみません。
(了)
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新宿区(新宿御苑駅近く)にて開業中の40代男性・E弁護士。上智大学卒。
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