E弁護士ブログ(40代男性、@新宿区)

契約書チェックを、スポット(単発)弁護士ではなく顧問弁護士に依頼すべき7つの理由

中小企業顧問弁護士の会弁護士のEです。
今回は、中小企業経営者にとって悩ましい問題、

契約書チェックをスポット(単発)で弁護士に依頼するか/顧問弁護士に依頼するか

というテーマについてお話しします。

契約書は企業活動の骨格とも言えます。
その契約書が「貴社にとって最適な契約書か否か」について十分な検討がなされていない場合、将来的にトラブルを引き起こす原因となりうる大変重要なものです。

ですので契約の都度、ぜひ弁護士のリーガルチェックを受けていただきたいのですが、そのたびにスポットで弁護士を依頼するのは費用や手間がかかります。

一方で、顧問弁護士に依頼することには、多大なメリットがあります。

本記事では、顧問弁護士に契約書チェックを依頼するメリットと、それが中小企業にとってなぜ重要なのかを解説いたします。

L.A.P.中小企業顧問弁護士の会よりご紹介するE弁護士
本記事を執筆した40代E弁護士

1.顧問先中小企業からのご依頼で最も多いのは契約書チェック

実際に私が中小企業の顧問を中心に弁護士業務にあたる中で、一番ご依頼が多い仕事は「契約書チェック」です。

私は企業の社長様に対し「顧問弁護士の導入をお考えになった動機」をお伺いすることがあるのですが、社長様の動機としても、「契約書を締結する局面が増えてきたから」というお声が多いです。

「顧問弁護士の導入をお考えになった動機」を社長様にお伺いすると「契約書を締結する局面が増えてきたから」というお声が多い。

2.結論:契約書チェックこそ顧問弁護士に依頼すべき

契約書チェックに対する社長様のお考えとして、

 

「契約書締結は毎月あるわけではないので、契約書締結のタイミングごと、スポットで弁護士に頼めばいい」

とお伺いすることがありますが、私の持論は違います。

契約書チェックこそ、日常的にやり取りをしている顧問弁護士に依頼すべきなのです。

本記事ではその7つの理由を述べたいと思いますが、その前に大事な前提をお伝えします。

それは、弁護士が企業法務に精通しているか否か、です。

3.前提:契約書チェックは、企業法務に精通している弁護士に依頼すべき

社長様の中にはよく「司法試験に合格した弁護士であれば、誰が契約書チェックをやっても同じ結論になる」とお考えの方が少なくありません。

しかしながら契約書チェックは、弁護士の中でも、中小企業の企業法務に精通している弁護士に依頼すべきです。

なぜかと申しますと、契約書チェック」は司法試験の科目ではないので、「弁護士資格を持っている」=「契約書チェックのための理論に精通している」というわけではないのです。

さらに、契約書チェックを適切に行うためには、法律論だけでなく中小企業向け法務の実務経験も必要になります。

よって、「弁護士であれば誰が契約書チェックしても同じ結論」にはならないのです。

そして弁護士には、いろいろな対応業務があります(民事か刑事か、民事であっても企業向けか個人向けか等)。

ですので、企業活動の契約書チェックであれば、中小企業の顧問業務を生業にしている弁護士に依頼しましょう。

契約書チェックは、中小企業の企業法務に精通している弁護士に依頼すべき

4.顧問弁護士に契約書チェックを依頼すべき7つの理由

その理由として、下記の7点を挙げたいと思います。

4–1.理由①契約書チェックには業界に特化した知識が必要になるため

理由の1点目は、顧問弁護士の方がスポットで依頼する弁護士よりも「御社の属している業界の実情に精通している可能性が高い」という点です。

顧問弁護士は、顧問先の社長様や担当スタッフの方と、日常的にやり取りを致します。

その過程で、顧問先様が属している業界についても自然と詳しくなります

実は業界が異なれば、あるべき契約書の建付けや条文の内容も異なってくるものです。

その実例を2つご紹介しましょう。

(1)ある古典芸能の分野のお客様の例

そのお客様のご要望は

「業界がとても狭く、噂が回りやすい。先方への注文があまりに多かったり、非常に細かい内容の契約書を取り交わそうとしたりすると、品がないと考える人もいる」

とのことでした。

よって、このお客様の場合は、お客様が絶対に譲れない契約条件の「キモ」の部分だけはきちんと取り決めた上、「何か不慮の事態があったときは、双方できちんと話し合いましょうね」という条項を入れたシンプルな契約書を作るよう心掛けています。

(2)あるIT業のお客様の例

IT業界では、どちらかというと、「合意した条件を明確にすること」が好まれる傾向にあります。

また、契約の相手方に対して契約書の条文の修正要求をすること自体は、問題ないことが多いようです。

もっとも、修正要求をする場合には、「修正要求があるなら条文の形で出すように」と言われる傾向もあります。

このため、弁護士の仕事としては、

お客様の細かい要望を汲み上げ、条文の形に書き直して、相手方に提示する対案を作成する

という作業が主になります。

顧問弁護士の方がスポットで依頼する弁護士よりも「御社の属している業界の実情に精通している可能性が高い」

このように業界によって契約書チェックに対する考え方はかなり異なりますし、弁護士のアドバイスも当然異なります

もちろん、スポットで依頼した弁護士がその業界に詳しければ問題はないのですが、契約書チェックは期限が限られていることが多いため、都合よくそうした弁護士を見つけるのは難しいものです。

4-2.理由②顧問弁護士の方が、契約書チェック費用が割安なことが多い

2点目は、契約書チェックの費用の問題です。

スポットでの契約書チェックの依頼は、必要なときに利用できる柔軟性がありますが、一般的には顧問弁護士への依頼に比べて費用が割高になることが多いです。

ただし、顧問契約をすれば「顧問料という固定費」が発生することも事実です。

また、具体的な費用や条件は、弁護士事務所や個々の契約内容(顧問料)によって異なりますので、弁護士との顧問契約をお考えの方は「顧問料の額」と「契約書チェックの費用と条件」について契約前に弁護士に確認しましょう。

4-3. 理由③顧問弁護士に頼む方が、早く確実にチェックしてもらえることが多い

3点目は、契約書チェックのスピードと確実さの問題です。

もし顧問先様からのご依頼と、スポットでのご依頼を同時にいただいた場合、私は、毎月顧問料をお支払いいただいている顧問先様からのご依頼を優先的に対応します

極端な話、顧問先様からのご依頼で手いっぱいの時は、スポットでのご依頼をお断りすることもあります。

一般的な弁護士の感覚も、同じようなものだと思います。

「契約書チェックはスポットで頼めばいい」というお考えを否定はしませんが、契約書を見てくれる弁護士を探しているうちに時間が経ってしまい、契約自体が流れてしまうことも考えられます。

条件のいい取引案件だった場合、月々の顧問料以上の損失が御社に生じることも、十分あり得ます

顧問弁護士に頼む方が、早く確実に契約書を
チェックしてもらえることが多い

4-4.理由④顧問弁護士なら契約の相手に応じた配慮ができる

4点目は、顧問弁護士であれば「契約の相手は誰なのか」についても配慮した契約書チェックが可能だという点です。

たとえば、契約の相手方が、

長年付き合いのある仲のいい取引先なのか、別件で揉めている相手なのか

によっても、契約書のチェックポイントは大きく異なってきます。

長年付き合いのある仲のいい取引先であれば、今までのひな形がたとえ不十分であっても、そのまま書き換えない方が良いこともあるでしょう。

他方、別件で揉め事が発生している相手との契約の場合には、現行のひな形をもう一度見直し、契約更新のタイミングが近いのであれば、契約書改訂も考える必要があります。

常日頃、相談している顧問弁護士であれば、契約書のチェックを依頼された際に

「この取引先・・・先日アレで揉めた先ですよね!?」

というコメントを出すことができます。

また逆に、ある相手との揉め事について相談された際にも、

「この相手との基本契約はどうなってます?ぼちぼち更新時期ですか?内容をもう一度見直しませんか?

というご提案や確認もすることができます。

長年付き合いのある仲のいい取引先なのか、別件で揉めている相手なのか
によっても、契約書のチェックポイントは大きく異なり、相手方に応じた配慮ができる。

4-5. 理由⑤顧問弁護士なら過去の他のトラブルに目を配り、契約書をより良いものにできる

5点目は、顧問弁護士の方が、スポットで依頼を受けた弁護士よりも、御社の他のトラブルに目を配ることができる点です。

たとえば、御社の中で過去に起きた「ヒヤリハット事例」や、あるトラブルで過去に裁判になった等でご相談をいただいていた場合には、契約書の改訂の際に将来を見据え、同一事例に対応できるような契約書の条文をご提案させていただきます。

4-6. 理由⑥顧問弁護士なら社長様のお気持ち・ご意向を反映しやすい

6点目は、顧問弁護士は、社長様のお気持ちに配慮した契約書を作ることができるという点です。

現実問題として、最新の専門書にある最新のひな形を使えば大体のケースには対応できるのですが、社長様が、特に懸念される分野が存在することもあります。

たとえば社長様が、「裁判になった場合、どうしても当社の地元の裁判所でやりたい」とお考えの場合には、

「今回の取引がらみで揉め事になったとしても、当社の本店所在地を管轄する裁判所以外で裁判は行えない」

という条文を契約書に入れるよう、私から提案いたします(但し、別記事【裁判のIT化で、中小企業は日本全国から顧問弁護士を選べる時代に突入したのか】でも触れた通り、「裁判をどこで行うか」という点は、以前よりは小さな問題になりつつあります)。

また、取引上、「トラブルが起きる可能性は低いものの、何かトラブルが発生したときは大きな問題になり、契約単価が低い割に、巨額の賠償請求をされるかもしれない」という契約の場合、社長様は問題が起こらないよう重々注意されているでしょうし、実際にトラブルが起きることもほぼ無いのでしょうが、万が一トラブルが起きた時のことを想像されると、心中は穏やかでないと思います。

このようなケースでは、

「今回の取引がらみで相手方に損害が生じても、こちらが賠償する金額の上限は、契約1本の単価の額とする」

という条文を提案させて頂いております。

このように社長様のお気持ちやご意向を反映したご提案ができるのは、顧問弁護士ならではです。

顧問弁護士なら社長様のお気持ち・ご意向を契約書に反映しやすい

4-7. 顧問弁護士なら社内体制に配慮したアドバイスができる

7点目は、顧問弁護士であれば、社内体制に配慮したアドバイスをすることも可能という点です。

顧問弁護士としてある程度長い期間お客様とおつきあいをしておりますと、お客様の社内体制のストロングポイントやウィークポイントが見えてくることがございます。

このため、ある契約書を拝見した際に

「この契約書は、条件自体はフェアですが、〇条の約束を守ろうとすると、総務部門に非常に負荷がかかりそうです。この部分を守れなかった場合、先方とは契約解除になります。御社の場合、総務部門は実質1人で回していたと思いますが、〇条の契約条件を守れそうですか?」

といったアドバイスもさせていただくことができます。

こうした社内体制に配慮したアドバイスも、顧問弁護士ならではです。

5. 契約書チェックに顧問弁護士を導入するタイミングは?

また「顧問弁護士を導入するタイミング」も大事なポイントです。

これも社長様がお悩みになることだと思います。

中小企業においては、

「契約書を取り交わす本数が増えてきた」
「なんとなく契約を結んできたが、本当にこの契約書で安全なのか不安だ」

と思われるタイミングが適切だと思います。

ぜひこうしたタイミングで顧問弁護士の導入をご検討ください。

6.まとめ

本記事を通じて、契約書のチェックを顧問弁護士に依頼する重要性についてご理解いただけたかと存じます。

契約書の適切な作成やチェックは、ぜひ顧問弁護士の協力を得てください。

そうすることで、貴社の法的リスクを最小化し、円滑な会社経営にお役立ていただければ幸いです。

(了)

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