E弁護士ブログ(40代男性、@新宿区)

契約書チェックを、スポット(単発)弁護士ではなく顧問弁護士に依頼すべき7つの理由

2024年1月24日

経営者の皆様、日々の契約書のチェック、どうされていますか?

「自分でなんとなくやっている」という方もいらっしゃるでしょうし、最近ですと、生成AIに投げて終わり、という方もいらっしゃるでしょう。

また、新たな契約を結ぶたびに、その都度弁護士を探して(あるいは以前にも依頼した弁護士を頼って)、スポットで確認を依頼している、という方もいらっしゃるのではないかと思います。

契約書は企業活動の骨格です。
その契約書が「貴社にとって最適な契約書か否か」について十分な検討がなされていない場合、将来的にトラブルを引き起こす原因となりうる大変重要なものです。

弁護士は契約書チェックのプロですし、また、生成AIの精度もまだ信用できないところがありますので、誰に相談すべきか?といえば弁護士だと思います。

では弁護士に依頼するとして、そのリーガルチェック、いつまでもスポット依頼で大丈夫ですか?

毎回費用がかかるし、やりとりが面倒…でも放っておくのは不安」そんな経営者の方に向け、この記事では、「スポット依頼ではなく、顧問弁護士に契約書チェックを依頼すべき7つの理由」を、実例も踏まえて解説します。 

L.A.P.中小企業顧問弁護士の会弁護士のEがお届けします。

L.A.P.中小企業顧問弁護士の会よりご紹介するE弁護士
本記事を執筆した40代E弁護士

1.「弁護士に」リーガルチェックを依頼すべき理由

そもそも弁護士に頼む必要があるのか

そもそも、

「契約書チェックは弁護士に依頼しないとダメなの?」

「そもそも契約書は日本語で書いてあるでしょ?」

「ChatGPTが、この契約書は問題ないと言ってるよ?」

「契約周りの知識は一通りあるし、契約書の確認作業、結構好きなんだけどな…」

というお考えをお持ちの経営者の方もいらっしゃると思います。 しかしながら、契約書を取り交わさないと取引ができない間柄の相手と契約を結ぶ場合、契約書チェックは、弁護士に依頼すべきです。

法律相談する際は事前にメモを作成することをお勧めします

弁護士に依頼すべき理由① 契約の世界では、独自の語法や文法が使われることがある

確かに、日本国内の契約であれば、契約書は日本語で書かれます。

経営者様の中には、「自分は日本語の読み書きが得意だから、契約書は自分で読み解ける」という方もいらっしゃると思います。しかし、契約書の中では、一般的な日本語の言葉遣いとは、異なる意味で使用されることがあります

よく出される例を一つ、挙げさせてください。

AさんがBさんからお金を借りるにあたり、金額や利息等を記載した契約書を作るとしましょう。お金の貸し借りの場合、一般的には、「金銭消費貸借契約書」というタイトルで契約書を作成することと思います。

この「金銭消費貸借契約書」の中に、「本契約第1条に基づいてAが借り受けた金銭100万円につき、返還時期は定めないこととする。」と書いてあった場合、Aさんは、いつまでに100万円を返せばいいでしょうか?

一般的な日本語では、「返還時期は定めない」とあるのだから、「ある時払いの催促なし」で、Aさんは、いつまで借りていても良いという結論になりそうな気がします。

しかし、契約の世界ではそのような考え方は、ほとんど取られていません。

契約一般について言えば、期限を定めていない場合、債権者は、いつでも債権の履行を求めることができるとされています(民法412条3項)。

お金の貸し借りの場合も、この契約上の債権者である貸主のBさんは、いつでもAさんに対し、「あの時の100万円、返してください」という請求をすることができ、Bさんから請求されたAさんは、請求を受けてから相当期間内(一般に、2週間程度と言われています)に返済をしないと、契約上の返済期限をまもらなかったという扱いになってしまいます(民法591条1項)。  

このように、「ただ日本語が読めるだけでは、対応できない場合もある」のが契約の世界です。

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弁護士に依頼すべき理由② 生成AIの信用性はまだ完全ではない

経営者様の中には、「ChatGPTをはじめとする生成AIがこれだけ進化しているのだから、契約書チェックも生成AIで足りるのでは?」というお考えもあると思います。確かに、契約書チェックは、弁護士の仕事の中では類型的なものですから、生成AIによる対応になじみやすいという面はあると思います。

しかしながら、この原稿を書いている2025年11月の時点で申し上げますと、生成AIは、現時点では、時々間違いをします。そして、生成AIの間違いを、生成AIは指摘できません。

リーガルチェック提供各社:AIは「補完ツール」という位置付け

契約書のリーガルチェックを提供する有料サービス各社も、現時点では、

契約書の完璧なチェックができると謳うのではなく、「抜け漏れ」や「見落とし」、「欠落条項」の防止


といった、ヒューマンエラーの補完ツールとして自社サービスを提供しているようです。 (AIに関しては、生成AIなど全く想定していなかった2021年にも、記事を書かせていただきました。よろしければご高覧下さい。

この記事を書いたときから現在までの間に、生成AIをはじめとするAIは、目まぐるしい発展を遂げました。もっとも、この記事で指摘した本質的な問題は、現在も解決していないように思います。

拙稿「AIによって、弁護士の仕事はなくなるのか?

私のお客様の中には、生成AIを複数導入して、別のAIにセカンドオピニオンを取っている方もいるようですが、契約書チェックのような法的問題の場合、A社の生成AIとB社の生成AIが違うことを言ったときに、どちらが正しいのか、確認ができないという事態に陥ります。

この場合に正しい結論を得ようと思ったら、結局は、A社の生成AIの見解と、B社の生成AIの見解の、どちらが正しいのかを、弁護士に相談する必要があります。

弁護士と法律相談、信頼関係

弁護士に依頼すべき理由③ 「餅は餅屋」で「時間は有限」

私のお客様の中には、「契約に関する法的知識があり、契約書の確認作業がわりと好き」という方もいらっしゃるのですが、その方は、日々の契約書チェックを私に依頼されます。

ある時、その理由をおききしたところ、「餅は餅屋だからね」とのことでした(そう言ってくださったお客様、その節はお褒め頂きありがとうございました。僭越ながら、契約書チェックに関しては私、そこそこの「餅屋」と自負しております)。

中小企業の経営者様にとって最大の資源は「ご自身が動ける時間」ではないでしょうか?そして、経営者様にとって、ご自身が動ける時間は有限ではないでしょうか?

ご自分でできる場合であっても、契約書のリーガルチェックは弁護士に依頼していただき、経営者様にはご自身の得意な分野で会社に利益をもたらしていただくというのが、御社の利益の最大化のために、合理的な選択だと思います。

ちなみに、「ある程度自分で出来るし、当社の規模では弁護士費用も有限なのですが…」という方には、「疑問事項を特定した上での弁護士への相談」をお勧めいたします。

例えば、

「第1条~第7条までは自分で理解できていて、第8条~第9条の受注金額や支払サイトもこれでいいけど、附帯条件として書かれている第10条~第12条までのところが、何を言っているのか理解できない(自信がない)ので、確認してほしい」

といった形でのご相談です。

このようなご相談ですと、「弁護士に頼まないとできない仕事」だけを弁護士に頼むことになりますので、弁護士の対応費用も自然と低額になります。

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契約書チェックに対する社長様のお考えとして、

契約書締結は毎月あるわけではないので、契約書締結のタイミングごと、スポットで弁護士に頼めばいい

とお伺いすることがありますが、私の持論は違います。

契約書チェックこそ、日常的にやり取りをしている顧問弁護士に依頼すべきなのです。

詳しいことは、この記事の後の方で述べますが、代表的なデメリットを挙げるとすれば、

①「回答までに時間がかかる」

②「案件ごとに説明を繰り返す手間とコストがかかる」

③「弁護士が、業界・自社の特性を見落としやすい」

他方で、顧問弁護士に契約書チェックを依頼するメリットをざっくり申し上げますと、

といったものがあると思います。

①継続的な法務支援のメリット

②“その会社を知っている”安心感

③日常的な相談がしやすい体制


といったあたりが挙げられると思います。

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「7つの理由」に入る前に、大事な前提を申し上げるのを忘れていました。

それは、契約書チェックを頼みたいのであれば、「企業法務に精通した顧問弁護士」に依頼する必要があるという点です。

社長様の中にはよく「司法試験に合格した弁護士であれば、誰が契約書チェックをやっても同じ結論になる」とお考えの方が少なくありません。

「弁護士資格」=「契約書チェックのプロ」ではない

なぜかと申しますと、「契約書チェック」は司法試験の科目ではないので、「弁護士資格を持っている」=「契約書チェックのための理論に精通している」というわけではないのです。

さらに、契約書チェックを適切に行うためには、法律論だけでなく中小企業向け法務の実務経験も必要になります。

よって、「弁護士であれば誰が契約書チェックしても同じ結論」にはならないし、「顧問契約を結びさえすれば、弁護士は全員同じ成果を出してくれる」わけでもないのです。

ですから、中小企業の皆様が日々の契約書チェックを依頼されるのであれば、中小企業の顧問業務を生業にしている弁護士に依頼するのがベストな選択だと考えます。

 

弁護士打ち合わせ

長々と話を引っ張ってまいりましたが、ここからはいよいよ、顧問弁護士に契約書チェックを依頼すべき7つの理由をお話したいと思います。

比較項目スポット依頼顧問契約
費用依頼ごとに個別料金が発生。やや割高になりやすい契約書チェックが顧問料に含まれることもある(契約内容による)
対応スピード依頼が混み合っていると後回しになる場合も顧問先として優先対応される
業界理解業界に詳しい弁護士に当たるとは限らない日常的なやり取りで業界特性も把握されやすい
過去のトラブル配慮都度説明が必要。過去の経緯を反映しにくい企業の履歴を把握しており、再発防止の視点が活きる
取引先ごとの対応相手先との関係性まで伝えるのに手間がかかる日々の情報共有により、関係性もふまえたアドバイスが可能
社長の意向反映自社の希望を都度説明する必要あり価値観や判断基準まで汲んだ提案が可能
社内体制との整合実務運用まで想定するのは難しい社内事情や体制に応じた具体的な助言が可能

契約書チェックの費用の違い

1点目は、契約書チェックの費用の問題です。

スポットでの契約書チェックの依頼は、必要なときに利用できる柔軟性がありますが、一般的には顧問弁護士への依頼に比べて費用が割高になることが多いです。

ただ他方で、顧問契約をすれば「顧問料という固定費」が発生することも事実です。

また、具体的な費用や条件は、弁護士事務所や個々の契約内容(顧問料)によって異なります。 ですので、弁護士との顧問契約をお考えの方は「顧問料の額」と「契約書チェックの費用と条件」について契約前に弁護士に確認しましょう。

 

対応スピードの観点

2点目は、契約書チェックのスピードと確実さの問題です。

もし顧問先様からのご依頼と、スポットでのご依頼を同時にいただいた場合、私は、毎月顧問料をお支払いいただいている顧問先様からのご依頼を優先的に対応します(というか、最近は顧問先様からの御依頼で手いっぱいの状態が続いており、スポットでのご依頼は基本的にお断りしている状況です…)。

 

弁護士は顧問先を優先する

一般的な弁護士の感覚としても、「顧問先優先」というのは、普遍的なものだと思います。

「契約書チェックはスポットで頼めばいい」というお考えを否定はしませんが、契約書を見てくれる弁護士を探しているうちに時間が経ってしまい、契約自体が流れてしまうことも考えられます。

条件のいい取引案件だった場合、月々の顧問料以上の損失が御社に生じることも、十分あり得ます。

 

顧問弁護士の方がスポットで依頼する弁護士よりも「御社の属している業界の実情に精通している可能性が高い」

 取引先・業界理解の深さ

3点目は、顧問弁護士の方がスポットで依頼する弁護士よりも「御社の属している業界の実情に精通している可能性が高い」という点です。

しかしながら契約書チェックは、弁護士の中でも、中小企業の企業法務に精通している弁護士に依頼すべきです。

顧問弁護士は、顧問先の社長様や担当スタッフの方と、日常的にやり取りを致します。その過程で、顧問先様が属している業界についても自然と詳しくなります。

実は業界が異なれば、あるべき契約書の建付けや条文の内容も異なってくるものです。 その実例を2つご紹介しましょう。

 

そのお客様のご要望は

「業界がとても狭く、噂が回りやすい。先方への注文があまりに多かったり、非常に細かい内容の契約書を取り交わそうとしたりすると、品がないと考える人もいる」

とのことでした。

よって、このお客様の場合は、お客様が絶対に譲れない契約条件の「キモ」の部分だけはきちんと取り決めた上、「何か不慮の事態があったときは、双方できちんと話し合いましょうね」という条項を入れたシンプルな契約書を作るよう心掛けています。

IT業界では、どちらかというと、「合意した条件を明確にすること」が好まれる傾向にあります。

また、契約の相手方に対して契約書の条文の修正要求をすること自体は、問題ないことが多いようです。

もっとも、修正要求をする場合には、「修正要求があるなら条文の形で出すように」と言われる傾向もあります。

このため、弁護士の仕事としては、お客様の細かい要望を汲み上げ、条文の形に書き直して、相手方に提示する対案を作成するという作業が主になります。

 

このように、業界によって契約書チェックに対する考え方はかなり異なりますし、弁護士のアドバイスも当然異なります。

もちろん、スポットで依頼した弁護士がその業界に詳しければ問題はないのですが、契約書チェックは期限が限られていることが多いため、都合よくそうした弁護士を見つけるのは難しいものです。

過去のトラブルを再発させないための契約条項を作成できる

4点目は、顧問弁護士の方が、スポットで依頼を受けた弁護士よりも、御社の過去のトラブルに目を配ることができる点です。

たとえば、御社の中で過去に起きた「ヒヤリハット事例」や、あるトラブルで過去に裁判になった等でご相談をいただいていた場合には、契約書の改訂の際に将来を見据え、同一事例に対応できるような契約書の条文をご提案させていただきます。

「取引先の属性」まで見据えた契約上のアドバイス

5点目は、顧問弁護士であれば「契約の相手は誰なのか」についても配慮した契約書チェックが可能だという点です。

たとえば、契約の相手方が、長年付き合いのある仲のいい取引先なのか、別件で揉めている相手なのかによっても、契約書のチェックポイントは大きく異なってきます。

長年付き合いのある仲のいい取引先であれば、今までのひな形がたとえ不十分であっても、そのまま書き換えない方が良いこともあるでしょう。 他方、別件で揉め事が発生している相手との契約の場合には、現行のひな形をもう一度見直し、契約更新のタイミングが近いのであれば、契約書改訂も考える必要があります。

常日頃、相談している顧問弁護士であれば、契約書のチェックを依頼された際に、「この取引先…先日アレで揉めた先ですよね!?」というコメントを出すことができます。

また逆に、ある相手との揉め事について相談された際にも、「この相手との基本契約はどうなってます?ぼちぼち更新時期ですか?内容をもう一度見直しませんか?」というご提案や確認をすることができます。

6点目は、顧問弁護士は、社長様のお気持ちに配慮した契約書を作ることができるという点です。

現実問題として、最新の専門書にある最新のひな形を使えば大体のケースには対応できるのですが、社長様が、特に懸念される分野が存在することもあります。

たとえば社長様が、「裁判になった場合、どうしても当社の地元の裁判所でやりたい」とお考えの場合には、「今回の取引がらみで揉め事になったとしても、当社の本店所在地を管轄する裁判所以外で裁判は行えない」という条文を契約書に入れるよう、私から提案いたします。

(但し、コロナ禍で裁判のリモート化が進んだ結果、「裁判をどこで行うか」という点は、以前よりかなり小さい問題になりました。 この点は、拙稿:【裁判のIT化で、中小企業は日本全国から顧問弁護士を選べる時代に突入したのか】で触れていますので、お時間があればご覧ください)

また、取引上、「トラブルが起きる可能性は低いものの、何かトラブルが発生したときは大きな問題になり、契約単価が低い割に、巨額の賠償請求をされるかもしれない」という契約の場合、社長様は問題が起こらないよう重々注意されているでしょう。

また、実際にトラブルが起きることもほぼ無いのでしょうが、万が一トラブルが起きた時のことを想像されると、心中は穏やかでないと思います。 このようなケースでは、「今回の取引がらみで相手方に損害が生じても、こちらが賠償する金額の上限は、契約1本の単価の額とする」という条文を提案させて頂いております。

なお、社長様から具体的にご相談頂いた場合はもちろんのこと、長い付き合いの顧問先様ですと、「この社長はこういうところを気にされるのではないか」という忖度が(私なりにですが)できるようになり、具体的なご要望をいただく前に、「こういう契約条項を相手に投げかけてみてはいかがでしょうか?」というご提案もさせて頂くことがあります。

このように社長様のお気持ちやご意向を反映し、お付き合いの長さによっては忖度までした個別のご提案ができるのは、顧問弁護士ならではです。

7点目は、顧問弁護士であれば、社内体制に配慮したアドバイスをすることも可能という点です。

顧問弁護士としてある程度長い期間お客様とおつきあいをしておりますと、お客様の社内体制のストロングポイントやウィークポイントが見えてくることがございます。

多くの中小企業様において、ウィークポイントとしてよく見られるのは、法務部門や管理部門のマンパワー不足です。

顧問弁護士であれば、ある契約書を拝見した際に

この契約書は、条件自体はフェアですが、〇条の約束を守ろうとすると、総務部門に非常に負荷がかかりそうです。この部分を守れなかった場合、先方とは契約解除になります。御社の場合、総務部門は実質1人で回していたと思いますが、〇条の契約条件を守れそうですか?」

といったアドバイスもさせていただくことができます。

こうした社内体制に配慮したアドバイスも、顧問弁護士ならではです。

比較項目スポット依頼顧問契約
費用依頼ごとに個別料金が発生。やや割高になりやすい契約書チェックが顧問料に含まれることもある(契約内容による)
対応スピード依頼が混み合っていると後回しになる場合も顧問先として優先対応される
業界理解業界に詳しい弁護士に当たるとは限らない日常的なやり取りで業界特性も把握されやすい
過去のトラブル配慮都度説明が必要。過去の経緯を反映しにくい企業の履歴を把握しており、再発防止の視点が活きる
取引先ごとの対応相手先との関係性まで伝えるのに手間がかかる日々の情報共有により、関係性もふまえたアドバイスが可能
社長の意向反映自社の希望を都度説明する必要あり価値観や判断基準まで汲んだ提案が可能
社内体制との整合実務運用まで想定するのは難しい社内事情や体制に応じた具体的な助言が可能

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ここまで、顧問弁護士に日々の契約書チェックを依頼するメリットを解説して参りましたが、契約書チェックのために結んでいただいた顧問契約には、「社長様の個人的なお困りごとが生じたときに、とりあえず相談できる相手がいる」という副産物もあります。

例えば私のお客様の中には、年に1~2通程度、契約書チェックのみを御依頼いただくだけの顧問先様がいらっしゃるのですが、ごくたまに、個人的なお困りごとでご相談をいただくことがあり、それが功を奏したのか、翌年もそのまた翌年も、顧問契約を続けて頂いております。

その社長様の立場になってみると、顧問弁護士がいない場合、どこに相談に行ったらいいのかわからないまま、

・弁護士を探す→
・正しい窓口なのかわからないまま、法律相談の予約を取る→
・お困りごとについての結論がわからないまま、予約の日まで待つ→
・当日、指定された場所に行って口頭で説明する

という手順を踏まないといけません。

顧問弁護士がいればすぐに回答が得られる安心感

他方、顧問弁護士が居る場合には、メール、電話等、普段連絡している手段で、とりあえず顧問弁護士に相談し、早期に回答を得ることができます。

分野によっては、企業向けの顧問弁護士では回答できない分野もありますが、その場合でも、どこに相談したらよいのかを適切に案内してもらうことができます(体の具合がわるいときに、とりあえず「かかりつけ」の病院に行って、早期に「どのような病院の、何科を受診すべきか」の正しい知見を得るのと同じイメージです)。

毎日相談があるわけでもないお客様から、ずっと顧問契約を続けて頂いている背景には、このような副産物の存在もあるのだと思います。

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顧問弁護士に相談すべきなのはわかったが、では「顧問弁護士を導入するタイミング」はどうすればいいのか。これも社長様がお悩みになることだと思います。

導入をご決断頂く時機としては、

「契約書を取り交わす本数が増えてきたように思う」

「なんとなく契約を結んできたが、本当にこの契約書で安全なのか不安だ」

「先日、契約書がらみでヒヤッとすることがあり、再発を防ぎたい」

「契約書は、社長一人で全部やってきたが、そろそろ限界だし任せられる部下もまだ育っていないなのでアウトソーシングしたい」

と思われたタイミングが適切だと思います。 ぜひこうしたタイミングで顧問弁護士の導入をご検討ください。

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8.まとめ

本記事を通じて、

・契約書のチェックは弁護士に依頼すべきこと

・弁護士なら誰でも良いわけではないこと

・スポットよりも顧問弁護士に依頼すべきこと

の重要性についてご理解いただけたかと存じます。

契約書の適切な作成やチェックは、ぜひ、企業法務に精通した顧問弁護士の協力を得てください。

そうすることで、貴社の法的リスクを最小化し、円滑な会社経営にお役立ていただければ幸いです。

(了)

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新宿区(新宿御苑駅近く)にて開業中の40代男性・E弁護士。上智大学卒。

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