D弁護士ブログ(50代女性、@赤坂)

コロナ禍で契約上の約定が守れないとどうなるのか? ~コロナ禍における「不可抗力条項」~

2020年10月30日

コロナ問題

L.A.P.中小企業顧問弁護士の会弁護士のDです。

今回は、コロナ禍における「不可抗力条項」についてお話したいと思います。

 

コロナ関連のご相談の例

多くのお客様がコロナ禍において企業活動に制限や影響を受けており、下記のようなコロナ関連のご相談がありました。

たとえば、

・メーカー企業「資材が入手できないため約定どおり製品の納入できなくなったが自社にどのような責任が生じるか」

・イベント関連企業「予定していたイベントが中止となり、手配していた会場をキャンセルしたが、この場合でも対価を支払う必要があるか」

などのご相談です。

 

まずすべきは「契約書の条項の確認」

このような場合、「まずは契約書の条項がどうなっているかを確認してください」とアドバイスいたします。

企業間の取引契約は私的な取引であるため、その当事者間の契約書で定めたことが基本的なルールになるからです。

そして標準的な契約書であれば、「不可抗力条項」という定めがおかれています。

これは、

不可抗力事由の発生により、契約当事者が自己の債務の履行が不可能になったまたは遅延した場合、当該契約当事者は債務不履行責任を問われない

ことを定めた条項です。

 

不可抗力事由とは

となると、不可抗力事由とはどのような事由を意味するかが重要になりますが、実は法律上、不可抗力事由についての具体的な定めはありません。

が、一般的な契約書では、

洪水、地震、火災等の天災地変その他当事者の合理的な支配を超える事由(コントロールが及ばない事由)

等が規定されています。

また、国際取引契約では相手国の情勢や国際情勢も影響しますので、上記に加えて、

戦争、国家間の対立、通商の禁止、騒乱、暴動、ストライキ、ロックアウト

等が追加されています。

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冒頭の相談事例においてはどうなるか

では、冒頭のご相談事例において、このような標準的な不可抗力条項がある契約に基づいて取引をしていたとしたら、契約に定める不可抗力事由による履行遅滞または履行不能に該当し自社は責任を負わないと主張することが可能なのでしょうか。

この点は、具体的な契約条項の文言にもよりますが、残念ながら形式的な解釈では、ただちに、不可抗力事由に該当すると断定することが難しいケースが多いといえます。

ということは、冒頭のご相談事例では、

・当該メーカーは、約定通り製品を納入できないため債務不履行になり、相手方から損害賠償されることも想定される

・当該イベント関連企業は、会場をキャンセルした場合、約定通りの対価(会場使用料)又はキャンセル料を支払う

ことになりそうですが、これらについて別の解釈はあり得るのでしょうか?

 

不可抗力事由に別の解釈の余地がある

この点、不可抗力事由の該当性について、別の解釈の余地はあると思われます。

というのは、仮に裁判になった場合、裁判所の判決等では、契約条項を文言通り杓子定規に解釈するのではなく、当事者の意思を合理的に推定し、解釈することがあるからです。

そのため、冒頭のご相談事例でも、このような契約条項の合理的な解釈ができれば、結論が変わる可能性があります

 

今後の契約書にも活かせる

また、今後の対策としては、契約書で、不可抗力事由としてどのような事由を定めておくべきかを、自社の業種や業態にあわせて吟味しておくことが重要になります。

コロナ禍において、契約に関し貴社が困った事、トラブルになった事があれば、これらの点をふまえてこの機会に契約条項を見直しておくと良いでしょう。

日頃から貴社の業務内容を理解している顧問弁護士は、より適切かつ迅速なトラブルの対処やサポートできますので、万一のトラブルに備えて、いつでも気軽に相談できる顧問弁護士を探しておくと良いでしょう。

(了)

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